カズは泣き叫び、嘔吐した。
そんなカズの姿を見て看護師さんがカズを抱えた。
「先生に診てもらいましょう」
「はい。お願いします」
昨日からカズはフラフラした状態が続いて、少しおかしかった。
だから、一度検査してもらったほうがいいと思って、看護師さんにカズを預けた。
診察室から出てきたカズは
「心配かけてごめんね」
と笑い、点滴をしてもらうため、別の病棟に移った。
私はベッドに寝ているカズの隣に付き添った。
点滴は1時間ほどで終わり、点滴を終えるとカズの顔色は少し良くなってゆく。
看護師さんの許可が出たから、点滴をはずしてもらい、こたぁの病室の前へと戻る。
そこにはすごく細くて、髪の長い女の人がいた。
「こたぁのお母さん」
カズは小さな声でそう言った。
こたぁのお母さんは病室の前にいた人たちに「ありがとう」と言いながら頭を下げて回っている。
そうして、その人達は悲しそうな顔をしながら、帰って行く。
「どうしたの?」
伸也さんに話しかけても、何も喋ってくれない。
「どうして、みんな帰るの?」
カズはもう一度、伸也さんに問い掛けると、手をつかまれ、ロビーへ連れて行かれた。
「どうしたの?」
カズが恐る恐る、伸也さんの顔を見る。
「こたぁは、もう起きないかもしれない。明日起きるかもしれない。医者にもわからねぇってよ」
伸也さんは投げやりにそう言うとカズは泣き崩れた。
「だから、みんなは自分の生活に戻ってほしいってこたぁの母さんが」
「そっか」
何を言えばいいか、わからなかった。
沢山の機械に繋がれた、こたぁを見ても、それが、こたぁなんだって実感がわかない。
だからカズみたく悲しいわけでも、伸也さんみたく悔しいわけでもなかった。
私は冷たい人間なのかもしれない。


