トイレに行くために、立ち上がろうとした、その時……伸也さんの携帯が鳴った。
誰からの電話かはわからないけど、伸也さんの顔つきを見れば、こたぁ関係だとすぐにわかる。
携帯の音でカズも目を覚ました。
「はい」
伸也さんの言葉に息を呑む。
「わかった。すぐに向かう」
それだけ言って、伸也さんは電話を切った。
「こたぁは?こたぁは?」
伸也さんは、しがみつくカズを辛そうな表情で眺めた後
「見つかった。今から病院行くぞ」とカズの腕を掴んだ。
私とカズは伸也さんの言葉に返事もせず、玄関へと向かう。
白いセダンに乗り込むと、カズの手が少し震えてた。
私はいつも伸也さんがしてくれてるように、カズの手を握り締める。
「亜美、大丈夫。こたぁは強いから」
目に涙をためて唇を噛み締めながら、そう言ったカズを抱きしめてあげたかった。
いつもは手放さないお菓子も昨日から一回も、手にしていないカズ。
そんなカズが心配でたまらなかった。


