でも、私とカズに階段を駆け上がる体力は残されていなかった。
息が上がり、吐き気までする。
私はできるだけ息を吸い込んで叫んだ。
「伸也さーーーん!こたぁを助けて!」
私の隣でカズが泣き崩れる。
伸也さん助けて。
こんな大音量の中じゃ聞こえるはずなんてない。
諦めて階段の手すりに手を掛けた瞬間、ドタドタという足音が微かに聞こえた。
「亜美、何があった?」
「こたぁを助けて」
「誰か!車持って来い!」
階段の上に向かってそう叫ぶ伸也さん。
「場所は?」
ホッとしたせいか、体の力が抜けていく。
「亜美、答えろ。場所は?」
「場所……」


