「何がおかしいの?」 伸也さんの肩を掴んで顔を覗きこむ。 「お前が男か女かくらいはわかる。そういう意味じゃねぇ。しかも、お前に聞いてねぇ」 低い声の男がそう答えてくれた。 私のほうを見て喋ったじゃん!! なんてことは、言えなかった。 だって、低い声の男は私の前に立ったまま、こっちを睨んでいるし。 訳が分からない状況に腹が立つ。 でも、誰かに押さえ付けられているかのように体が動かない。 「兄貴は睨んでねぇよ。もともと目付き悪いだけ。だから大丈夫」