慌てて顔を下に向けると、ふと目に入ったのは自分の右手。
その右手は……郁君の左手と繋がってて。
あたし、郁君と手を繋いでたんだって事に気が付いた。
パッと視線をあげると、郁君と目が合った。
郁君も気付いたのか、お互いに勢いよく離した手と手。
そして、また目が合った。
ドンドン赤くなる顔と、
ドキドキが止まらない心臓。
おさまれ、おさまれ!
両頬に手をあて、熱がおさまるのを願う。
そんな時だった。
1つ、2つと飛んで行ってしまった風船。
「あ……」
「あーぁ」
空高く飛んだ風船は、ゆらゆらと揺れ合いながら上がって行く。
時に絡まり、そしてお互い離れ離れになっても同じ方向へと向かって飛んで行ってしまった。

