【完】TEARS−ティアーズ−



「それなのに篠原、風船まで貰ってるし」



クスクス笑う郁君に、つい心の声が出てしまった。



「……郁君て、笑ってればカワイイのに」

「えっ?」



笑ってた郁君の顔が、どんどん真顔になっていく。


あ……。

自分が言ってしまったことに気が付いた時には遅くて。


あたしのバカ!


なんでいつも言わなくて良い事まで言っちゃうんだろう。


『男の子は可愛いなんて言われても嬉しくないんだよ』

って前に、南ちゃんが言ってたのに。


それなのに可愛いだなんて……絶対に怒っちゃうよ。