それなのに郁君は不機嫌そうな顔になって。 口を手でおおい、そっぽ向いてしまった。 あ、れ? 怒っちゃったのかなぁ。 この歳になって、風船なんて貰ったから? それとも、あたしまた何かしちゃったかなぁ? 不安になって郁君を見上げたままでいると、郁君の肩が微かに揺れているのに気付いた。 「……郁君?」 「ウサギ、絶対に怒ってただろー」 そう、あたしを見る郁君は笑ってて。 あれ? 怒ってたんじゃなくて……笑ってたの? その笑顔につられて、あたしも笑ってみた。