「そっかぁ、だからウサギ汚いんだね」
そう呟いた後、あたし達を不思議そうに見上げる子供達の視線に気が付いた。
そして風船を配るウサギの着ぐるみの手も止まっていて。
あ……これって。
そう気付いたあたしが郁君を見上げると、郁君も気付いてたみたいで。
苦笑いを浮かべた郁君は、あたしの手を引き歩き出す。
「え? あ、ちょっと待って!」
郁君の手を引っ張ったあたしは、もう一度ウサギの前に向かった。
「風船ください!」
そう言って風船を4つ貰い、郁君を見上げてニッコリと笑った。
せっかく風船を貰いに行ったのに、忘れちゃ意味がないもん。

