【完】TEARS−ティアーズ−



「高峰さん、前髪おりてたら高校生でもアリかもよ」



だなんて。



「お、大人をからかわないで下さい」



いつもはセットしている髪も今日は、そのままで。

僕はよく童顔だと言われるから、少しでも年相応に見えるように普段は前髪をあげている。


気にしている部分を突付かれたもんだから、少し動揺してしまった。



「私はこっちの方が好きかな」



そう言って、僕の前髪に触れた手に思わず、ドキッとしてしまって。



「か、簡単に触ったりしないで下さいっ」

「え?」



南さんが驚いた顔をして、手を自分の方へと引き寄せた瞬間。



--ピピッ
と鳴った体温計。



「あ、あの、南さん……」

「あ……、体温計……」

「あ……はい」



差し出した体温計を見た南さんは、



「38度8分もあるじゃん! ほら、もう寝てて」



そう言って、部屋から出て行ってしまった。



1人残された僕は、さっきの事を思い出して。


『簡単に触ったりしないで下さいっ』

少し言い方を間違えたかもしれない。


僕に触れるなって意味ではなくて。

そう簡単に男性に触れちゃ駄目って意味で。


って、僕は一体何が言いたかったんだ。