《俺もそっち向かって歩く》 なんて、優しい言葉。 《早く俺に会いたかったんだろ?》 なんて、意地悪な声。 《電話しながらなら、乃亜が走ってないのもわかるし》 なんて、悪戯な言い方。 「郁君、やっぱり走っていい?」 《は? ダメだっつーの》 「あ! 郁君!」 《え?》 耳元から聞こえてくる声と、少し離れた場所から聞こえてきた声。 それが 《あ、バカ。走んなっつったろ》 重なって。