【完】TEARS−ティアーズ−



気付けば、辺りは薄暗くなっていて。

駆け寄ってくる足音にハッとした。



「乃亜っ!」



そう呼ばれた声に、キューンって胸が締め付けられる。



「遅くなって悪ぃ」



そう謝る姿に、今度は胸の奥がズキズキと痛んだ。



「ううん、大丈夫だよっ!
もう練習終わったの?」

「んー、うん」



そう歯切れの悪い返事をする郁君。

いつもなら、何も思わず帰ってる。

だけど今日は、気付いてしまった。


本当は終わってないんだって。



「あれ? 郁ー!
ミーティングはどうすんの?」



そう少し離れた場所から声をかけた男の子は、まだサッカーのユニフォームを着ていて。



「ああ、俺パスー」

「りょうかーい」



やっぱり、まだ帰っちゃいけない時間なんだって。



「郁君、行っておいでよ」



そう言ったのに。



「ん? 大丈夫、大丈夫」



なんて軽く言って。