ニコニコ笑顔のあたしに、南ちゃんが後ろから
「乃亜、お金は? お礼は?」
「あーーー!」
忘れた。
貴重な“日替わり弁当”の食券を譲って貰ったのに、お金払ってないよ!
それよりもお礼すら忘れるなんてっ!
周りをキョロキョロと見回すも天使君の姿は、もうなくて。
「南ちゃん、どうしよう!」
涙目になりながら南ちゃんに助けを求めた。
「とりあえず、ここ人多いし。
席取って、お昼取りに行ってから、探さない?」
「あ、うん! そうだよね、そうしてみる!」
人込みの中に立っている迷惑なあたし達は、あいている席に荷物を置いた。

