《……乃亜?》



“帰りどっか行かね?”


その言葉が何度も何度も、頭の中をリピートして。



《あ、都合悪かった?
なら別に…》

「今、なんて言ったの?」

《え? あー、都合悪かったら…》

「じゃなくて! その前!」

《その前って?》

「明日の帰りどこか行くの?」

《ああ。でも予定あるんだったら別に…》

「どっかって、どこ?」

《へ?》

「都合なんて悪くないっ」

《乃亜? ちょっと落ち着けって》



耳元に響く郁君の笑い声に、ハッとする。