「そっか。
あ、それなら……ね、郁君。

あたしのことも乃亜って呼んで欲しいなー……なんて?」



ちょっとだけ勇気を出して言ってみた。

もし本当に“乃亜”って呼ばれたら照れちゃうんだろうけど。

でも、本当は呼んで欲しい。

郁君に。



「は? べ、別に篠原って呼んでんだし、篠原でいいじゃん」

「……だよねっ」



答えはわかってたつもり。

だけど、バカな事を言った自分自身が恥ずかしくて。

なんだか泣きそうになってしまった。