【完】TEARS−ティアーズ−



サッカーの試合の予選が朝一であって、圧勝した俺達チーム。

ミスのないプレーに監督が喜んで。

その日は珍しく、その場で解散となった。


試合には出たものの、体を動かし足りなかった俺はジョギングをする事にした。


少し遠くまで行こう、そう思って着いたのは大きな公園。

犬の散歩をする人や、遊んでる子供、お弁当を食べている人も居て。

もちろん俺みたいにジョギングしてる人が1番多かったんだけど。


爽やかな風が、軽く汗をかいた肌には気持ちがいい。

遠くの方に見えた人の姿に、俺は目を見開いた。


だって、そこに居たのは篠原で。


なんで、こんなとこに居るんだ? 

驚きながらも、声をかけようと思った。


だけど、篠原の前には男が立っていて。

それが、あの高峰って男だって事に気がつくまでにそうは時間はかからなかった。


篠原の隣を通り過ぎる時、ちょうとiPodから流れていた音楽が終わり、



「乃亜ちゃんのこと好きだよ。
だから僕と付き合って欲しいんだ」



そう言った高峰って男の声がハッキリと聞こえた。


えっ?

俺がその言葉に驚いた瞬間、iPodからは次の音楽が流れ出し。

篠原が何て返事したかは聞き取れなかったんだ。