【完】TEARS−ティアーズ−



「そっか」



それだけ言うと、高峰さんは黙ってしまった。



嘘を吐くなんてよくないと思う。


だけど、あたしは高峰さんとのお付き合いも結婚も考えられないし。

高峰さんだって、きっとそう。


よくないやり方だとは思うけど、きっとこれで良かったんだ。



「さっき泣いていたのも、その“彼氏”のせい?」

「え……」



黙っていた高峰さんが、信号待ちになったと同時に聞いてきた。


あたしは嘘が下手みたい。

上手く誤魔化せばよかったのに。


何も言えなくなって、言葉に詰まってしまう。