「そっか」 それだけ言うと、高峰さんは黙ってしまった。 嘘を吐くなんてよくないと思う。 だけど、あたしは高峰さんとのお付き合いも結婚も考えられないし。 高峰さんだって、きっとそう。 よくないやり方だとは思うけど、きっとこれで良かったんだ。 「さっき泣いていたのも、その“彼氏”のせい?」 「え……」 黙っていた高峰さんが、信号待ちになったと同時に聞いてきた。 あたしは嘘が下手みたい。 上手く誤魔化せばよかったのに。 何も言えなくなって、言葉に詰まってしまう。