【完】TEARS−ティアーズ−



「あはは、乃亜ちゃんは本当に可愛いね」

「か、からかわないで下さいっ!」

「からかってなんかないよ?
僕はいつでも本気だよ」



だ、駄目だ。

高峰さんのペースに巻き込まれちゃう。



「ねぇ、乃亜ちゃん。
ひとつだけ聞いてもいい?」

「え? あ、はい」

「昨日の男の子は、本当に“彼氏”なのかな?」

「え? あ……はい、そうです」



“彼氏”そう言われて思い浮かんだ郁君の顔。

それだけで、あたしの胸はズキンッて音を立てる。