【完】TEARS−ティアーズ−



「……すみません」



小さな声でそう言うと



「ああ、これで少し遅くなっても怒られないよ」



そう微笑む。



高峰さんは大人だな。


あたしは門限のことなんて、これっぽちも考えてなくて。

こんな泣き顔のまま家に帰ろうとしていた。


そんな事したら、どうなってたかわからないのに。

そう思って浮かんだのはママの顔。


ママの事だもん。

泣いて帰ったりしたら、大慌てで騒ぎ立てるに違いない。


高峰さんは苦手だけど、今日は会えてよかったかもしれない。