「とりあえず、涙ふいて?」



差し出されたのは、キチンとアイロンのあっているハンカチ。


いつもなら断っているはずの優しさを、今日は素直に受け取ってしまう。



「あー……、さすがに家に帰れないよね」



あたしの顔を見て、そう言った高峰さんは、



「車に乗って落ち着いたらどうかな?」



そう車を指差した。



もちろん、いつもなら絶対に乗ってない。


だけど、今日は別。


こんな顔で家に帰ったら……ママになんて言われるか。