「目が覚めたのね。よかった。ちょうど渡したい物があったのよ」
そう言うと、看護士は手に持っていた黒い封筒を差し出した。
「あの… これって?」
「何か、“重藤天音さんに渡しておいて下さい”って言われたのよね~。全身真っ黒だったし、声もヘリウムガスを吸った声みたいで不気味だったわ」
看護士が身震いしてるのを見ると、本当に不気味だったのだろう。
あたしは、ふと疑問に思った。
「あの… あたし、何でここにいるんですか?」
「え? 何でも何も、あなたのお姉さんが電話してくれたのよ」
「……あ… わかりました。ありがとうございます」

