「お母様?」
「アリス、ダメよ。あなたは、綺麗な人間にならなければ」
綺麗な人間?
なに、それ……。
アレンが、汚い人間って言いたいの?
「綺麗な人間ってなに?」
「いつもいい子にしてる、アリスみたいな子よ」
「じゃあ、なんでアレンは違うの?」
お母様の顔はみるみる内に青ざめていく。
「アリス! それを、私に言わすのですか?」
「言わす? 知らないんだもの、教えてもらわなきゃ困るわ」
「…………」
お母様が黙る。
「アリス、もうやめ「しゃべらないで!!!」
アレンが口を開いたとたん、お母様が叫んだ。
「お母様、なんて事いうの?!」
私はお母様につめよる。
「だって、いや。声も聞きたくないわ」
「なんで? どうして?」
私はもう、お母様だからなんだというのだ……そう思い出していた。
答えてよ……
私は知らない……
なにも知らないんだから……!!
でも、答えない。
お母様は黙っているだけ。
「はやく、いいなさいよ!!」
私はお母様に怒なった。
私はいい子なんかじゃない……。
表に出さないだけの、たちの悪い、悪い子だ。