どうにも上手くいかない。

流星の四本の尾は、先程から硬い何かに阻まれていた。

岩盤だろうか。

それにしては硬すぎる。

流星の高い神通力を帯びた四本の尾だ。

只の岩盤程度ならば、訳なく貫いている筈。

地面を掘り進むくらい、天狐である流星が手こずる筈はないのだが。

どうにも解せない。

そんな事を考えている時だった。

「お取り込み中失礼致します」

幼い声で呼びかけられる。

…流星は涼しげな表情のまま、眼下を見下ろした。

絶壁の遥か下。

白い装束を纏った白髪の少女がこちらを見上げていた。

柔らかな微笑み。

しかし憂いを帯びた瞳で。

彼女は流星に語りかける。

「どうかソラリスを傷つけるのはやめていただけませんか?星が泣いています」