銀河の流星

「あら…」

意外な返答にタラリと頬に汗を流す星乃。

この状況で救助活動をしないなど、並の人間ならば良心が痛むだろうに。

この男、相当な変わり者らしい。

「いやあ…そう言わないでさ、そこを何とか。ちょっと引っ張り上げるだけでいいからさ」

「断る。お前を助ける理由がない」

人命救助に理由を求める辺り、やはり相当な偏屈者だ。

「はー…そこまで言われちゃあ仕方ないかぁ…」

溜息をつき、やれやれと首を振って。

星乃は大きく深呼吸。

呼吸を整えた上で。

「ふっ!」

振り子のように体を振って勢いをつけ、もう片方の腕を、一気に伸ばした!

上手く岩肌の僅かな窪みに、指の第一関節がかかる。

ロッククライマーはそれで十分だ。

彼らは指の力だけで己の全体重を支える事ができる。

両手さえかかれば、危機から脱する事も可能だった。