銀河の流星

ガラガラと音を立て、崩れた岩が奈落の底へと落ちていく。

落ちた先は、底さえ見えない谷間。

万が一転落すれば、勿論人間の身で命はない。

星乃は。

「ふぅー…」

何とか断崖にぶら下がっていた。

地震の揺れでバランスを失ったものの、何とか片手のホールドだけは保持。

転落する事なくしがみついていたのだ。

とはいえ。

「さて…どうしたもんかしら…」

危機感のない口調で、星乃は眼下を見る。

足場のない垂直絶壁。

右手一本だけでぶら下がっている形だ。

一人でこの窮地を乗り切るのは、少々難儀だった。

何とか…せめてもう片方の手をかける場所を見つけるしかないか。

そう思って視線を上方に向けると。

「!」

そこには、男が立っていた。

銀髪、長身痩躯の優男。

それまで気づきもしなかった、いつの間にやら現れた男だった。