浮気な彼







息が切れるほど走った、

こんなに走ったのは何時以来だろう



もうすぐ日が暮れる


亜樹ちゃんに電話してみたけどまだ家には帰っていないらしい

俺は何処まで雪乃を追い詰めたんだ?

俺は何処まで雪乃を苦しめたんだろう



「くそっ.......」

オレンジ色に照らされて、俺の声は何処かに溶けていった


ふと、辺りを見回して気付いた。

橋の下に人が居る.........?........

あれは?

俺は精一杯目を凝らして見た、

見えたのは、紛れも無く雪乃だった



「..........っ........雪乃.......!」


俺はすぐさま雪乃に駆け寄った

ちゃんと、謝れるだろうか....?.....


「..........なんで....いっ.....!!?.....」

相当驚いたのか目を見開き、声も震えていた


「..........なんでって.....」

「こ、.......来ないで........嫌だっ.......来ないでよぉっ........!!.......」

 


雪乃は、震えた声で言って、泣いてしまった

その場に蹲り耳を塞いでいた



「.............」



その姿は痛々しくて

雪乃が初めて見せた涙だった


どんな言葉を掛ければいいのだろう?

俺は、迷った.....こんなにも、雪乃は苦しんでいたのに、

「........雪乃........」

「ごっ.........ごめんなさ.......」

泣きながら、

蹲っているのに、

謝ってくる雪乃



「雪乃.......」







そんなぼろぼろでも、俺に謝るのか....?....