海と微熱の狭間で

「泣くなよ馬鹿」

原野が困ったように言った。

「何だか、あ…安心して」

原野が噴き出した。

「それを言うなら俺だろ?キスまでしちまって…ったく、ほんと…」

「馬鹿って?」

唇を尖らせて言うと、原野はおどけたような仕草をした。


「とにかく!泣くな」
じゃなきゃ俺が悠沙に怒られる。

原野の悠沙を想う表情は以前より晴れ晴れしかった。


「やっぱり葛城くんが一番大事?」

当然のように原野が頷いた。
可純が呆れて溜め息を吐こうとしたが、原野の言葉は続いていた。

「…悠沙が一番なのは変わらないけど、でも可純には二番をやってもいい」
「え…」

原野が驚いて固まっている可純の頬に口付けた。
それは、深い親愛のこもったキスだった。


「そんで、俺が三番な」