海と微熱の狭間で

「そう言えば葛城くん、恥ずかしいじゃない」

葛城とベンチに座りながら、買ってもらった焼き栗を抱えて可純は言った。

と言っても葛城は栗の殻を剥くばっかりで、食べていない。

「何が?…ん」
裸の栗を口に持ってこられたので、条件反射に口に含む。

急いで噛み砕き飲み込む。

「何が、じゃなくって鍋のこと!」
葛城が笑う。

「ゆっくり食べなよ」
可純は二度も話を交わされたので、眉を顰めた。


「…ああ、ごめんって。だってほら、ほんとの事だし」
可純は疑わしい目で葛城を見る。

「鍋食べてる時が一番愛感じることが?」

葛城が苦笑する。

「うん」

可純は不満げに唇を尖らせた。
じん、とまた痺れる。

「お、不満?」
葛城の楽しそうな様子にムッとしてしまう。
「ほら、あーん」
葛城はまた栗を可純に食べらした。

口を開けてしまう自分に腹が立つ。


「…可純は?俺と何したら愛感じるの」

可純は少し意地悪く揺れている漆黒の瞳を見つめた。


「…葛城くんとなら、何でも感じるかもね」

可純は面白くなさそうに呟いた。

実際、嘘でもない。