海と微熱の狭間で

高速に入り、可純たちはパーキングエリアに寄った。

パーキングエリアは平日にも関わらず賑わっていて、屋台がたくさん並んでいる。
可純は思わず凝視した。

「可純何か食べる?」
葛城が可純の髪を撫でながら笑いかけた。

原野は混んでいるだろうトイレに行っている。

「うん…でもお母さんが昼ご飯張り切ってるし、お腹一杯になりそうだし…」

「じゃあ、皆で食べようか?可純何食べたい?」

葛城の優しい表情に可純は口許を弛めたが、唇にじん、と痺れが走ったので可純は指先で唇に触れてしまった。

「どうした?」
「ん、何か唇が痺れて…」

葛城は可純の顎を上げて、心配そうに唇を見つめた。

可純は顔が熱くなるのを感じた。

まるで、キスでもするようである。

「大丈夫?腫れてはないけど………」
途端、葛城の顔が可純に負けないぐらい真っ赤になった。


「葛城くん?」
葛城は手を離し、頭振った。

「な、何でもない!…ほら、何買おうか?」
可純は眉をしかめた。
怪しい。


「…葛城くん私に何か疚しいことしたんでしょう」
葛城が見目麗しい顔を強張らせて、笑って見せた。

「いや、何も?」

可純は肩を竦めて溜め息を吐いた。

「まあ、別に言いたくなければ言わなくてもいいよ。だけど解っててね、私は葛城くんのことで解らないことなんてないんだから」
不器用なとこも、全部知ってるの。


葛城はしばらく可純を見つめると、思いっきり抱き締めた。

「わ!なにするの」
恥ずかしい、と抗議すると、葛城は可純の耳元に唇を寄せた。



「…すっごい好き」
掠れた声に可純は睫毛を伏せた。

「…誤魔化すな」
可純のひんやりとした声は、自分でも恥ずかしくなるぐらい甘い響きを持っていた。