海と微熱の狭間で

かたくなに閉じていた瞼を開く。
可純は目をぱちぱちさせながら葛城を見た。
「鍋?」
原野の肩が密かに震えている。

「うん、可純と一緒に食べる鍋が一番愛を感じるね」

可純は愛、の単語に顔が熱くなる。

「…変わってるね」
葛城がキョトンとした顔を見せた。

「えーでも可純だってそう思うだろ?一緒に温かい鍋囲んで美味しいね、って笑い合うんだぜ。それに可純が海老の殻む…「そこまで言わなくていい!」

可純は目を閉じて遮る。
葛城が不満げにえー…と声をあげた。

可純が呆れて溜め息を吐き瞼を開くと、バックミラー越しに原野の笑った顔が見えた。