それが、葛城だった。

初めはどんな人とか、興味なくていつも通りの対応をしていた。
相手があまりにも凝視してくるので、自然と視線を外し顔など見なかった。
淡泊な性格の可純は冷たいともとれる態度だったが、本質がこれなので仕方ない。


可純の記憶の隅にいた美しい人は、だいぶ薄れかけていた。



葛城は一方的な思いに愕然とした様子だったが直ぐに微笑みを作ろうとしていた。

だけど失敗して、泣きそうな悲しそうな表情になった。

「…覚えていませんか」

情けない声だった。
そして。
考える暇もなくキスをされた。