「あれー?おとーさんお顔真っ赤だよぅ」

丘生が不思議そうに言った。

深島は指摘され、更に赤くなる。


「わ~ほんとだ!おとーさん風邪?」

朝海も月帆から離れてソファーに近付くと、まじまじ深島の顔を見ながら言った。

深島は困惑気味に笑んだが、月帆は愉快そうに笑ってるだけだった。

文子も上品に手を口にかざして、笑っている。


「二人とも大丈夫よ、お父さんはお母さんに二回目のプロポーズしてくれたから恥かしがってるだけなの」

深島は更に困惑したが、朝海は嬉しそうに笑顔になった。

丘生はキョトンとしている。

「おとーさん、おかーさんのこと大好きなんだね!」
丘生はいまいちプロポーズの意味が解らないのか、深島に尋ねた。
「プロポーズってなあに?」
「え…」
深島は驚いて言葉に詰まったが、代わりに朝海が答えた。


「ぼく知ってるよ!男の子がね、大好きな女の子の王子さまになってあげることなんだよ!」

朝海の可愛い答えに深島以外の大人が笑みを浮かべた。


「誰に聞いたの?」

「幼稚園のせんせー!ぼくがね、美夕ちゃんにプロポーズしてって言われたとき教えてくれたんだ!」
文子が笑った。
「まあ、おませな子ですわね」

「朝海くんは美夕ちゃんにプロポーズしたの?」
月帆は自愛に満ちた母の顔で尋ねた。