もしも彼が。


「そうだ、大事な話があるの」


まさかあのこと?


「座りなさい、2人とも」


静かに腰掛ける私たちに


「今日は珍しいな」


笑いかけるパパ。


「早く話せよ、ねみぃ」

「実は、来週に皆で旅行に行こうと思ってな」

「は?旅行?」


馬鹿じゃねぇの?

なんて言う弘樹。

何でそんな普通でいられるの?


「俺はパス。今更家族ごっこみたいなこと出来るかっつーの」


冷たくて重い空気が漂う。


「とにかく俺はパス。」

「弘樹?行きましょう?ね?」


ママが弘樹に説得してるみたい。


「魅咲は行くのか?」

「わ、私は…」


どうしよう…

どうしよう…

旅行に行くのって

家族じゃない

そう言う前に最後の思い出作りとか?


考えすぎ。


他の人からしたらそう言うだろう。