「蓮は…この事を知ってるの?」
「あ…………」
その後は何も言えなくなってしまった。
「…知らないのね」
「…………はい…」
あたしの病気を家族以外に話したのは博美さんが初めてだ。
「…これからも話さないの?」
「…はい。蓮さんにまで…あたしの病気を背負わせるような事…できないです…」
時が来たら…静かに姿を消そう。そう決めていた。
「……そう…。これはあたしの意見だけど、蓮には話してあげてほしいわ。蓮はあなたを大事にしてるもの」
「蓮さんは優しいです。妹のように大事にしてくれてるのもわかってます。でも…」
たからこそ……蓮さんには言えない。優しい人だから、きっと悲しむ。俺が気付けばって自分を責めちゃうから…。
「妹として…じゃなくて、女の子としてだと思うわよ」
「…………え…?」
「あんな必死な蓮…久しぶりに見たもの」
博美さんはクスクスと笑う。
蓮さんが…あたしを女として見てる…?
そんな事…ありえないよ。今までだってずっと子供扱いだったし…。
「ふふっ…まぁ全てはあなた次第ね。話すも話さないも…あなたが選ぶ事…」
「…はい……」
あたしは…蓮さんにこの病気の事を話す事はあるのかな…?
それを聞いたら…あなたはあたしを追い出すだろう。
それだけは…嫌だった。どんなに嘘を重ねても…蓮さんの傍にいたい。
蓮さんの隣で生きる事…それがあたしの精一杯生きるという事。
「また来てもいいですか?」
「もちろんよ!また来てくれなきゃ寂しいじゃない」
二人で笑い合う。お姉ちゃんが出来たみたいだな。


