一番星のキミに恋するほどに切なくて。《旧版》



―ジャー…

「…お…っ…い…ゆ…き…」


あれ……シャワーの音に交じって何か聞こえる…。


「……いっ…ゆ…きっ…」

頬に何かが触れてる。何だろう……。


「…んっ…………」


ゆっくりと目を開けると、ぼやっと何かが見える。


「…おいっ…しっかりしろ!!」


焦点がだんだん合ってきた。


「……あ……れ…さ…」


蓮さんだ……。帰って来たんだ。


「しっかりしろ!!」


必死にあたしの頬を叩いてる。何でそんな顔してるの…?


「夢月っ!わかるか?」

「…お帰り…なさ……」

「…そんな事言ってる場合じゃないだろ!!」


いつもあんなに無表情で無関心な蓮さんが…こんなに必死な顔してる。

何でだろう……。


「…病院行くぞ」


蓮さんの言葉で一気に意識がはっきりとした。


気付けばあたしは蓮さんに抱き抱えられている。服もびしょびしょだし…。


「…倒れたんだ…うっ……」


まだ気持ち悪いな…。それに…こんな所で倒れちゃうなんて…。

蓮さんになんてごまかせばいいの…?


「…乗れ。バイクなら病院まですぐだ」


蓮さんはあたしに背中を向けた。多分おぶって行く気だろう。