一番星のキミに恋するほどに切なくて。《旧版》



しばらくしてから料理が出てきた。


「…おいしいっ」


あたしが頼んだのはハンバーグとクリームソーダ。本当に色気がないと思う。

こういう時、女の子は口が汚れないようなメニューを選んだりするんだよね。


「蓮さんは食べないの?」

前でコーヒーを飲む蓮さん。ご飯食べないのかな?


「…腹が空かない…」


蓮さんは眠そうに目をこする。今日は起きてからそう時間の経たないうちに出て来てしまったから…。


それって…あたしのために…。でも………。


「…朝も食べてないんだから食べなきゃ駄目だよ!」


自分のハンバーグを一口大に切ってホークに刺した。
それから、眠そうにしている蓮さんに差し出した。


「……………なんだ?」

「食べて」

「…………いらない」

「食べなさい!」


一歩も引かないあたしを無言で見つめる。それから深いため息をついてハンバーグを口にした。


「コーヒーばっかり飲んでたら、コーヒーになっちゃうよ?」

「…………ならないだろ」

「物の例えです!」


蓮さんとの初めての食事は、楽しかった。どうやらご飯をあんまり食べてないみたい。


迷惑じゃなかったらこれからはあたしが作ろうかな…。


あたしは、密かにそう決意したのだった。