「え!それ全部!?」
軽く上下3セットくらいあるよ!?
「ありがとうございました」
蓮さんは店員さんから服を受け取り、さっさと歩き出す。
「えっあの!お金っ…」
リュックをガサガサとあさる。
高いよこの服!お金足りるかなぁ…。
「いらない。早くしろ」
「…えっ!?」
あたしの手が蓮さんに握られる。
冷たくて大きな手。
手が冷たい人ほど、心が温かい…。蓮さんは、こんなあたしにすごく優しくしてくれる。
「…あ、ありがとう…」
「…着替えがあれだけじゃ生活出来ないだろ。次行くぞ」
あぁ、だから……。蓮さんはあたしに服を買ってくれたんだ。
こんなあたしを気遣ってくれたのがすごく嬉しい。
優しくしてくれて…ありがとう…。
前を歩く連さんの背中に、心の中でお礼を言った。


