教室でカチカチとケータイを打つ。


ケータイ禁止の学校だけど、そんなのはお構いナシ。


勉強している人にイライラしながら横目でニラむ。

“いかにもガリ勉”な男はビクッと肩を震わせる。

あ〜…メンド。


さっきから[進路希望]の紙がシャクに障る。


クシャクシャに丸めて捨て………るとさすがにマズい。


高3の三学期。


あたしには夢なんてないっつーの。


――そういえば、水野がいない?


「成〜水野いなくない?」


「水野〜?疲れたんじゃん?」


水野 リカ。まあジミッコの中のジミッコで、いじめられ体質。


いっつも1人。


けどなんだかんだいって皆でイジメてたから朝とか先生がいないときは騒がしかった。


あたしは直接イジメてないケド見てみぬフリってヤツ?まぁ「イジメなんていけないよ!」なんて誰が言うかっつー話。


皆自分が一番好きだよね。


自分を守る。あたしもその1人。


あたしは自分のこと好きなワケじゃないけど。


教室に1人いないと静かな気がする。


寂しいわけじゃないけど。

どピンクのマニキュアを塗っていると



ガラッと勢いよく教室のドアが開いた。


――何?先生怒ってんの?八つ当たりだけは止めてってカンジ。