先輩。
あたしは泣くことしかできない。
今は戻ることもできない。
このままあっさり終わっちゃうのかな・・。
あたしが一人泣いてると部員の拓真君が来た。
「さえ!?」
「あ・・ごめんね今ちょっと行けなくて」
「・・・ッなんで部長なんだよ」
「・・・えっ?」
その瞬間強く抱きしめられた。
何が起こってるんだろう・・。
拓真君があたしを抱きしめてる?
「さえが部長のこと好きなことなんてみんな知ってるよ」
「嘘・・」
「見てればわかる」
「・・・」
「俺、さえがマネージャーになったころから好きだった」
何も言えない。
拓真君があたしを好きだって言ってる。
嘘だ。
きっと夢なんだ。
・・・いや、夢なんかじゃない。
だって、拓真君の涙があたしの腕に落ちてくる。
「かっこわりぃーな」
「・・ううん」
「さえが俺のコト好きじゃないってわかってる。でも―・・」
拓真君はそこまで言うと話すのを止めた。
「拓真君?」
「・・・あきらめたくねぇーんだよ」
「・・・・」
「でもな・・・なーんかさえの幸せ願っちまう。それは俺じゃできないこと」
「あたしの幸せ?」
「すっげぇームカつくけど・・・さえのこと協力する。俺はさえの味方!なんでも相談してくれよ」
「うん。ありがとう」
なんか悪いな。
あたしも拓真君になにかしたい。
「拓真君・・」
「ん?」
「あたしに何かできることってある?」
「いいよいいよ」
「でもっ」
「じゃあ―・・・ずっとマネージャーでいて」
「喜んで」
拓真君が応援してくれてるんだから頑張らなきゃ。