「……それで? 何があったの?」 「…そう、大したことではないんです」 スクールバックを両手で持ち、ぎゅっと握り締める円香。 「……大したことじゃなくてもいいよ。話してごらん」 その声色は、優しくて、温かくて。胸がポカポカと温かくなる。 自然と彼女の表情が緩んだ。 「…はい」 こくりと頷き、簡単に経緯を思い出してから、口をゆっくりと開いた。