彼女達の親は、後で別々に来ることになっている。

保護者と一緒に行くのが一般的だが、この学校は違うようで生徒は早めに登校しなければならない。

そのため、円香とマキは一緒に学校に向かっていたのだ。


円香達が通うことになるこの高校は、公立である。

外見は、白っぽい、けれど淡い青色をしていた。

校舎の中も特別何かあるわけではないが、敷地内が公立のくせに広い。

これでは、慣れないうちは迷子になるなと微かに苦笑した。


廊下を少し進んで、掲示板に張り出されているクラス名簿に必死に目を走らせる円香とマキ。


「あっ! 私は一組です!」

「あたしもだよ、円香!」


キャッキャッと嬉しそうにはしゃぐ二人。

この高校、九クラスという、普通の高校よりも人数が多いため、入れたとしても同じクラスになるなど不可能にちかい。

その為、二人のような小さな奇跡はごくまれだ。