何故か私、不良の彼女になりました



「僕は細川英二(ホソカワエイジ)これでも副総長だよ」


よろしくね、と円香と握手をしようと、スッと彼女の前に手を差し出そうとした。

しかし、それもパンッと何かを叩くような、甲高い音によりそれは叶わない。


「……」


その微かに赤くなった自身の手の甲を、彼は呆然と見つめる。


(……っ)


円香はごくりと息を呑む。

だがその表情も一瞬で崩れさり、英二と名乗る男はスと目を細め、彼女を視界に入れた。

映るのは長い女の髪の毛、そう、叩いたのはマキだ。


「円香に、触らないで…」


声が自然と低くなり、彼女は鋭く睨み付ける。男は口の端を持ち上げた。


「…へぇ」


英二は瞳の奥を妖しく光らせ、面白そうな表情をする。

それにいち早く感付いたマキは背筋に嫌な汗が流れるのを感じた。


「…ね、マキちゃん。僕はただ、仲良くしたいだけだよ?」


笑顔なのに、鳥肌がたつ。

何なんだろうか、この感覚は。


(……コイツ)


ギリリ、とマキは無意識のうちに拳を強く握っていた。