「俺暴走族の総長なのにか…」
ぼそっと発した彼はガーンと何やら沈んでいたが、円香はそれどころではない。
「ぼぼぼ暴走族ぅ!?」
ズササササッ、本能が危険だと判断し、素早く後ろに跳んだ。
(こ、この人…ただの不良じゃないんですか!?)
不良でさえ怖いのに、その上をいくのか、とあわあわ意味もなく慌て、両手をブンブン振り回す。
その様子を、淡い青色の髪を楽しく揺らしながらフフッと青年は笑み、マキはどうしたらいいのか、とおろおろとしていた。
(そ、そんなぁああっ!)
いやー、と涙目になる彼女はとりあえず置いとかれ、彼は未だ沈んでいる馬鹿、もとい聡に話し掛ける。
「…まぁ、仕方ないよ。普通の子は知らないのが当たり前だから」
平然と言う男に目を丸くした聡。
「…そ、そうなのか」
いつの間にかぴたりと思考を止め、円香はそのやりとりを横目に息を吐き出す。
(…この青色さんは常識があるみたいです。だけど…)
明らかに目を泳がせている彼は。
この世界中の人間全ては俺のことを知ってるぜ、と思ってでもいたのだろうか。
ふぅと重苦しく息を吐き出す。
(…思っていたのでしょう、きっと)
彼女の言うとおり、総長サマはそう考えておりました。


