「マキちゃん」
彼女の制服の裾をクイッと軽く引っ張る。
マキは睨んでいた顔から素早く一転させ、優しい表情に戻した。
「どうしたの?円香」
不良達に接した態度からは到底想像できない程口調もキツくなく、とても穏やかだった。
今の状況からして少々場違いな気もするが、円香を恐がらせないためならこのくらいどうってことない。
しかし残念ながら、少女は全くその気遣いに気付いていなかった。
それよりも円香は、マキの方を見ずに相手の胸辺りを喰いはるように見つめている。
「……ネクタイ、見て下さい」
「え?」
ぼそりと小さく呟く少女に言われて、相手のネクタイを目に映すと瞬時に眉間に皺を深く寄せる。
そして先程の円香と同じように金髪男のネクタイも見ると、また目の前にいる男に目線を戻した。


