「聞きたいこと…?」 「…えぇ」 こくりとひとつ頷いてみせたマキは、意を決意したように声を落とした。 「なんで逃げなかったの」 とても真剣な表情でいう彼女に、ポカンと口を開けて目を瞬かせる。 「…逃げる?」 「そうよ。あたしなんて置いて、逃げればよかったじゃない」 その言葉に目を見張り、次いで円香はふっと口元を緩ませると、ゆっくり首を横に動かす。