「円香っ!あの不良に何かされた!?」


言葉が出なくて、ふるふる頭を振ることしかできなかった。


「…そう、違うの」


一先ず安心、と息を吐き出すマキに、やっと声を出して先程のことを説明する。

彼女はそれを、口を挿むことなく黙って耳を傾けていた。


「…だから、あの人は何もしてない、です」


してないけど、怖かった。

それは紛れもない事実。