「あ、あの!ごめんなさい!」


急いで頭を下げる。


(……怖い)


彼の顔が、見れない。

今、どんな表情をしているのだろうか。

膝がけらけら笑うが、それがバレないように必死に隠す。


「お前…」


不良が何かを言おうとした時、ちょうどいいタイミングでマキが追いついた。


「円香! …!」


不良を目にし、マキは円香を守るように素早く間に立ちふさがる。

男はじっとマキに視線をやった後、再び円香を見て、何も言わずに去っていった。