he in love with me?

「わあああああっ」

 大声を上げて、理佳の口を塞ぐ。
 その声は、クラス中に響いたのか、教室内にいる皆が、こちらを向いた。
 どうすればいいのか分からなくなって、恥ずかしさのあまり頭がぐらぐらしてきて、理佳の口を押さえたまま俯く。

「ーっ!うー!」

 皆はくすくすと笑った後、興味をなくしたのか、またもとの会話に戻る。
 その時、だいぶ強い力で抑えていたのだろうか、苦しげに理佳が腕を叩く。

「わわっ、ご、ごめんっ!」

 慌てて両手を離すと、理佳は大げさに肩で息をした。

「ま、まじいきなりとか、びびった」

「ご、ごめんね……?」

 申し訳なく思い、相手が怒っているのか恐る恐るみる。
 すると理佳は、別に謝ることじゃないよー、と眉を下げて笑った。

「今回は大声出した自分も悪いし」

「いや、それよりも澪の方が大声出してたけどね……」

 冷やかし半分なのか、真菜がうっすらと口に笑みをたたえてからかうように言った。
 う、うるさいなぁ……、と自分は困ったように笑うと、真央が言った。

「で、結局あげんの?あげないの?」

 何を言えばいいのか、言葉に詰まっていると、5時限目のチャイムが鳴り、救われた気分になった。

「ほ、ほら、チャイムなったし、その話はまた今度っ、席着かないと、先生来るよ?ほらほらっ」

 そうやって3人を手で払い、自分も席に着いた。