退院した、翌日から、理恵が学校に登校してきた。

腕を組んで、隣にはいつも、良太がついている。幸せそうな、恋人同士。誰の目から見

てもそういう風に見える。



窓の外、歩いている二人の姿を見つけて、文香は目をそらした。朝も時間をずらしたけ

れど、どうしても、二人を見ない日は無かった。良太が同じクラスで、休み時間も授業

が始まるまで、理恵が良太に会いに来ていたから。



事情を知っている友達が、同情してくれているのが、いまはせめてもの救いだ。

「がんばれ」という言葉は聞き飽きて、また聞くのは逆につらかったけど。



良太とは視線さえ、合わせられない。


ここから逃げたかった。―・・・でも、逃げてしまうのはくやしいから、辛くても凛と


背筋を伸ばして歩いてゆこうと決めたんだ。





明日は卒業式。




終わりよければ全てよし、というけれど、どうも私はそういう風には、いかないみた

い。でも、ここで、良太に出会い、良太に助けられて、良太を愛した。この三年間は私

にとって、宝物だったと思う。