それから、良太は退院して、学校に復帰した。



「良太、いよいよ、受験、明日だね、勉強・・・大丈夫?」


「ああ出来ることはやったよ。病室でも猛勉強してたし。お前が来るまではな(笑)」


「もぉ、落ちたからって私のせいにしないでよ。」


「俺の事はなんでも、お前の責任だろ。」


「そういう意味で言ったんじゃないよ。」


「分かってるよ。冗談。でも精神的にすごい安心になってるよ。俺にとって・・・文香は。」


「ほんと?」


「ああ、お前が側にいてくれるだけで、こんなに違うなんてな。」


「嬉しいな。良太にそう思ってもらえるなんて。」


「なんか。。。良いな。」


良太が急に照れたように言った。


「うん?何?」


「文香とこうやって、二人で、帰れるなんてな。」


「そうだね。」



つないでいた手を何度も優しくにぎりしめた。



いつもの町がこんなに綺麗に見えるのも、空がこんなに青かったことに気づいたのも、

今、良太の存在が私のそばにいてくれるから。良太の言葉は、そんなことを、あらため

て、感じさせてくれる。



「そういえば。。。理恵あれから学校来てないね。」


「ああ。俺も気になってたんだ。」


「昨日、私、理恵の家に行ったんだけど、会ってくれなかったんだ。」


「明日の試験が終わったら、俺も一緒に行くよ。理恵には、分かってもらいたいんだ。

俺達の事。わがままかも、知れないけどな。」


「そうだね。会ってもらえるまで、何回も行こう。」


「ああ。」