「そんなことないよ。兄弟思いだし。」


「ま、もう子供じゃないんだし、あんま、言わねーけど何かあったら、相談くらいし
ろよ。」


「うん・・・ありがと。」



ぶっきらぼうだけど、良太の優しさが伝わってきてその日はなんだかうれしかった。



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中村先輩と付き合って、三ヶ月・・・

先輩は大学に進学して、楽しいキャンパスライフを送っている。



彼とのデートは毎週、土曜日に、図書館の自習室での勉強が終わってからだった。

週一回のデートじゃ少なかったけど、自分が受験生であることを自覚していたし、中村

先輩も理解してくれていて図書館の駐車場で、自慢の真っ赤なスポーツカーに乗って、いつも文香を待っていてくれた。



「文香!今日はデートの日だね。」


一緒に図書館で勉強していた、理恵が声をかけてくる。


「そうなの。さっき携帯に連絡があって、もう、待ってるみたい。」


「いいなぁ。彼氏が車でお迎えなんて・・・」


「そうでしょ。(笑)良太も一年後には、免許取って理恵の学校まで、迎えに来てくれるんじゃない?」


「まだまだ、先だな~」


「今日は、これから、理恵達どうするの?」


「良太の家で、一緒に勉強会だよ。」


「そう。がんばってね。」


「じゃ、また明日。」



笑顔で手を振ったけれど、横にならんで、歩いていく、良太と理恵、二人の姿がなんだか、まぶしくて、切なくなる。


去年だったら、良太の家での勉強会、私も一緒だったのにね。。。


二人を見送ってから、文香は、彼氏の待つ、駐車場まで、駆け出した。